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list 推理小説「犯人はヤス」


1 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 20:52:29.12 ID:P+grQrBv0
<登場人物>

田中 良枝(27)・・・作家。ペンネーム「田中ヤス」
    信雄(31)・・・「建設会社ヤス」社長。良枝の婚約者。
山田 靖男(23)・・・信雄の部下。
椎名 薫(27)・・・歌手。芸名は「YASU」。良枝の友人。
安 郁恵(27)・・・外科医。良枝の友人。


5 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 20:54:53.63 ID:P+grQrBv0
『今日19時頃、新潟に上陸した台風18号は、明日の明け方までこの地域に停滞し・・・』
「やっぱり明日まで家から出れないみたいですよ」
テレビを見て、田中良枝は3人の客人に言った。
「どうぞ今夜は泊っていって下さい。明日は日曜だし、みなさんお仕事もお休みですよね?」
信雄が客人を見渡して言う。異論を唱える者はいなかった。

新潟の山奥に、1軒の小さな家が建っている。一週間後に結婚を控えた良枝と信雄の家である。
作家の良枝が、のびのび仕事をしたいと言い、信雄に建てさせた家だ。
信雄がそんなわがままを聞けるのは、信雄が建築業を経営しているからである。良枝はそんな経済力を持った婚約者を誇りに思っていた。
しかし、誇りに思うあまり、信雄にもらったプレゼントをいつも見せびらかしていたので、周りの人間からは疎まれていた。
一方、信雄は仕事も人柄も良く、多くの人に愛されていた。欠点といえば、女性を見る目が無い、という事か。

さて、今夜、そんな2人の家に3人の客人がやってきている。
仕事の都合で来週の結婚式に出られないので、今日それを祝いに来た3人である。

「良かったぁ。実は僕、もう少し飲みたかったんですよぉ」
山田靖男(ヤスオ)がろれつのまわらない声で言った。
山田は信雄の会社の社員である。名前の通り真面目で実直な性格だが、酔うのが人一倍はやく、そうなると扱いが難しい。
(別に台風が来てなくっても、もっと飲むつもりだったんだろ)
信雄はそう思ったが、口には出さない。

「ねえ、朝まで時間があるなら、YASUのコンサートのビデオを見ましょうよ。良枝、確かあなた持ってたでしょう?」
良枝の向かいに座っている女性が言った。
安 郁恵。田中良枝の、高校時代の同級生である。
東京の某有名大学の医学部を卒業し、今は「やす医院」を開き外科医として働いている。

また、『YASU』とは、3人目の客人『椎名薫』の事である。
田中良枝・小笠原郁恵と同じ高校の同級生で、当時受けた歌のオーディションで見事優勝し、今でも歌を生業としている。
自分のビデオを見ることを必死に拒んでいたが、安はもうすっかりその気になっていて、結局全員で薫のビデオを見ることになった。
午後9時頃のことである。


8 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 20:56:21.58 ID:P+grQrBv0
それからの2時間、5人はビデオを見てすごした。
外は台風が停滞していたが、彼らは快適にYASUの歌声を聞くことができた。
良枝の為に作られたこの家は、完全に防音してあり、部屋の外の音がほとんど聞こえないからである。

そして午後11時頃、2時間のビデオは終わった。
その間、全員が真剣にビデオを見ていて、その部屋から出た者はいなかった。また、不振な動きをした者もいなかった事も付け加えておこう。
「まだ11時か。もう一本ぐらい薫さんの歌、聞きたいなあ」
信雄は朝まで起きているつもりだった。
「もう私の歌はいいですから・・・」薫が必死に止めるのも聞かず、良枝が言った。
「薫のビデオなら、私の部屋にまだたくさんあるから、取ってくるわ」
ビデオをデッキから取り出した良枝は、それを持って北のドアから廊下へ出て行った。
5人がいるリビングには、南側と北側に1つづつ、計2つのドアがある。
北のドアからは、良枝の仕事部屋とトイレの2部屋に行くことができる。
南のドアは玄関や風呂につながっているが、今回の事件においてこのドアが開けられることは一切無かった。
また、この家のところどころにある窓は、台風に備えて補強しており、開けることはできない。
つまり、この5人は、“リビング”と“良枝の仕事部屋”と“トイレ”を行き来する事しかできないのである。
良枝が部屋を出て数秒後、山田が立ち上がった。
「すいません、ちょっと飲みすぎちゃって。トイレって何処ですかぁ?」
顔が真っ赤の山田を怪訝に思いながらも、信雄は北のドアを指さした。

山田が部屋を出てから数分後、良枝がリビングに戻ってきた。額にはうっすらと汗が浮かび上がっている。
「ふう、もう夜なのに暑いなあ。ちょっとビデオを探しただけで汗かいちゃった」
良枝は、持ってきたビデオをテーブルに置き、コップに少しだけ残っていたビールを飲み干した。
そして携帯の時計で時間を確認すると、また立ち上がった。
「じゃあ、私、明日までの仕事があるから、これで失礼しまーす」
「え、もう?せっかくコーヒー淹れたのに・・・」
キッチンから、お盆を持った薫が出てきた。キッチンはリビングから独立していない。
お盆には、4つのコーヒーと1つのミルクが載っている。歌手の薫は、喉を守るため、コーヒーは飲まないようにしている。
「じゃあ、せっかくだからコーヒーは貰っていくわ」
良枝は、お盆からコーヒーカップを取り、北のドアへと消えていった。


11 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 20:57:47.97 ID:P+grQrBv0
さらに数分後、山田が帰ってきた。
「すいません、なんだか時間かかっちゃって・・・」
山田の言葉に返事をする者はいない。
信雄は、良枝が残していったビデオテープをデッキに入れ、再生ボタンを押した。

2本目のビデオが始まって1時間後、つまり午前0時頃。
外科医の安が、バックから携帯を出した。
そしてしばらく携帯をいじった後、信雄に尋ねた。
「信雄さん。ちょっとメール出したいんだけど、ここって圏外なのね?電波が届くところないかしら?」
「あぁ、すいません。なにせこんな山奥ですからね。トイレなら電波が届きますよ」
それを聞いて、安は北のドアから出て行った。
そして数分後帰ってきて、何事も無かったかのようにビデオ鑑賞を再開した。

さらに30分後の午前0時30分、今度は薫がトイレに行くと言い、北のドアから出て行き、やはり数分後に帰ってきた。
これで、信雄以外のすべての人間が北のドアから出て行ったことになる。完全防音の家なので、彼らがドアを出て何をしていたのか知る術はない。

午前1時。2本目のビデオが終わった。
全員相当に酔っていて、山田に至ってはうたた寝を始めていた。
「私、そろそろ休ませていただくわ」
5人の内、一番多く飲んだ安が言った。明日は確実に二日酔いだな、とちょっと後悔する。
「私ももう寝ます」
薫もそう言い、自分のコーヒーカップを片付ける。
信雄ももう眠かった。寝る前に、良枝にビデオを返さなければ、と思う。
「じゃあ、ビデオを返してきますね」
信雄は北のドアから出て行った。
10秒後、ドアが乱暴に開けられた。
安は驚いてドアの方を見た。
そこには信雄が立っていた。驚きと不安の入り混じった、今にも泣き出しそうな顔もしている。
「安先生!来てください!良枝が・・・」
信雄は、安の手を引っ張って良枝の仕事部屋に連れていった。


19 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 20:59:54.46 ID:P+grQrBv0
部屋に入った安は、思わず息を呑んだ。
部屋の中央に、良枝が横向きに倒れていた。手足を折り曲げ、ちぢこまっている。
まるで、寝ている赤ん坊のようだった。
また彼女は、ズボンははいていたが、上半身には下着しか身に付けていなかった。
「良枝!」
安は、良枝に近づいた。しかし彼女はピクリとも動かない。息をしていない事を確認し、脈を図る。
「先生、まさか良枝は・・・」
「残念ですが、すでに亡くなられています」
つい、仕事の時のような口ぶりになる。安は、友人が死んでも、こんなに冷静な自分に驚いた。

異変を察知した薫が部屋にやってきた。
良枝の死体を見て、「ひっ」と短い悲鳴をあげる。その後、安に言われ、リビングに寝ている山田を連れてくる。
死体を見た山田は、酔いが一気に冷め、顔面蒼白になった。その驚きようは、すこし異常なほどだった。
「死因は分かる?」
薫が聞く。
夫の前でそんな事を言うのはどうかと思ったが、安は仕方なく答えた。
「血は流れていないし、目立った外傷は無いわね。事故じゃないのかも」
「事故じゃないとすると・・・」
山田はそこまで言って、口をつぐんだ。言ってはいけない気がした。
しかし、薫が空気も読まずにその言葉の続きを言った。
「・・・他殺?」
ベットに腰掛けて泣いていた信雄が、顔を上げた。
「良枝は殺されたのか・・・?」
「い、いや、まだ決まったわけじゃないですよ。心臓発作とかかもしれませんし」
山田が必死に否定するが、もう遅かった。
「殺されたのかもしれないんだろ?そうなんだろ?」
「まあそうなんですけど・・・」
「じゃあその場合の事を考えろ!その時、良枝はどうやって殺されたんだ!」
信雄の剣幕に驚きながらも、必死に考えた。


21 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:01:01.68 ID:P+grQrBv0
「そうですね・・・外傷が無いのなら、毒でしょうか。例えば、さっきのコーヒーに何か入ってたとか」
「何?まさか私を疑ってるの?」
良枝のコーヒーを淹れた薫が言う。
「違いますよ、今のはただの仮説ですから。それに、コーヒーに入れるのは誰にでもできますよ」
「違う。毒殺じゃないわ」
死体を調べていた安が発言した。全員が彼女の方を見る。
「ほら見て。よく見たら、首のところに紐の痕があるの」
それを聞き、全員が死体の近くに集まった。

確かに、良枝の首には、ピアノ線のような細い紐で締め付けられた跡があった。
紐の跡は2本あって、ちょうど喉ぼとけで交差している。また、紐の跡の周りには引っかき傷が多数見受けられる。
後に警察の調べで、この跡は首を絞められた時にできたもので、良枝はその時に死亡した事が分かった。

「やはり、良枝は殺されたのか・・・」
信雄は再びベッドに腰掛け、うなだれる。
しかし、そんな信雄に気がつかないのか、薫がまた心無い発言をした。
「へえ、これって首を絞められた跡なんですか」
いい加減イライラしてきた安は、怒鳴りつけようかと思ったが、薫の発言には続きがあった。
「じゃあ、紐はどこにあるんでしょうね。犯人が持ってるんでしょうか」
信雄は悲しみに暮れるのを中断した。
確かにそうだ、と思った。窓は開けられてないし(雨が吹き込んでないから絶対だ)、紐はこの家のどこかにあるはずなのだ。
先ほど小川原が警察を呼んだが、この嵐の中、明日の昼までに来れるかも怪しい。少しでも証拠を集め、我々だけで犯人を見つけるべきではないのか。
信雄は決心し、客人たちに言った。
「薫さんの言うとおり、犯人が紐を持っているかもしれない。これからボディチェックをさせてもらう」
客人たちはおどろいたが、信雄の気が済むまでやらせてあげることにした。


24 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:02:56.78 ID:P+grQrBv0
20分後。
あまりの暑さに、4人は捜査を中断していた。
全員のボディチェックが行われたが、紐や事件に関係のあるものは一切出てこなかった。
また、4人の服は柔らかい繊維のもので、とても首をしめられるものではなかった。
信雄はボディチェックだけでは足りないと言い、部屋を調べ始めた。
4人はお互いを監視しながら調べていたので怪しい動きをとった者はいない。
手始めに良枝が仕事に使っているパソコンと仕事机が調べられたが、良枝が3日ほどパソコンを使っていない事しか分からなかった。
良枝は決まった服でないと仕事をしなくて、良枝が着ていたズボンは、まさにその服だった。
よって、彼女は仕事着に着替えようとしていた時に殺された、と推測できる。

山田は吹き出る汗を抑えながら「暑いなぁ」とつぶやいた。
視線を上げていくと、壁に取り付けられたクーラーが見える。電源は切れている。
彼がこの部屋に入った時、クーラーはもうすでに切れていたが、その時は余韻で涼しかった。
彼は上司に尋ねてみた。
「社長、あなたが部屋に入ってから、誰かクーラーを切りましたか?」
「いや、切ってない」
「じゃあ良枝さんが切ったんですね。何故切ったのかなぁ」
それはさっきから信雄を悩ませている問題だった。
仕事をしていなかったので、寝るつもりだったとは考えられない。しかし、これから仕事をするのに、クーラーを切ったりするだろうか?
もしかして、急に光熱費の事が気になったのだろうか。いやしかし・・・
「まあ、考えても分からない事もありますしね。私、冷たい飲み物でも持ってきます」
薫がそう言って部屋から出て行った。3人は『冷たい飲み物』と聞いて本当にうれしくなった。

薫の持ってきたカルピスを飲みながら、信雄は良枝の事を考えた。
彼女は最後にリビングを出たとき、コーヒーを持っていった。彼女はそれを飲んだのだろうか?飲んだとすれば、それが人生最後の飲み物となったのだ。彼女はそれで良かったのだろうか?
コーヒー、コーヒー・・・
そこまで考えて、信雄は目を見開いた。ある事に気づいたのだ。
彼は立ち上がって、山田のほうを向いた。


27 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:05:11.68 ID:P+grQrBv0
「山田、お前さっき『良枝のコーヒーに毒がはいっていたのかも』って言ったよな?」
山田は困惑しながらも答える。
「え?ええ、言いましたけど、でも首に紐の跡がありましたからその仮説は・・・」
「そんな事言ってるんじゃない!」
信雄は山田の胸ぐらをつかむ。
「どうしてお前がその事を知っているんだ!良枝が仕事部屋に戻ったとき、お前はトイレにいたはずだ。良枝がコーヒーをもっていった事を、どうしてお前が知っているんだ!」
山田の目は明らかに狼狽し、顔色はみるみる青くなっていった。
「いや、それは、あの、その・・・」
信雄は山田を壁に押し付けて続ける。
「お前がその事を知っていたのは、あの時トイレに行かずにこの部屋に入って、コーヒーカップを見たからじゃないのか?良枝を殺したのがお前だからじゃないのか?えぇ?どうなんだ!」
「いいえ、違います!確かにこの部屋には入りました。でも僕は殺してません!」
「なんだと!じゃあお前は何故この部屋に入ったって言うんだ!」
「そ、それは・・・」
山田が答えに戸惑っていると、代わりに安が答えた。
「浮気してたからよ」

「浮気・・・だと?」
「あ、でも良枝はまだ結婚前だから、浮気とは言わないのかしら?分からないけど、この2人は付き合ってたのよ。怪しいとは思ってたけど、
これではっきりしたわ。」

安が言う。
信雄は信じられない、といった様子で、山田に聞いた。
「・・・本当なのか?」
「・・・はい、本当です。数ヶ月前、社長に紹介された時から付き合い始めました・・・。でも、今夜は良枝さんに別れようって言われたんです。
メールで呼ばれて、行ってみたら、結婚するからもう会えないって言われました。
それでそのまま別れたんです。だから、僕は殺してません!」

「そんな事信じられるか!」
信雄はそう怒鳴り、山田を斜め下に投げた。
信雄が何を信じられないのかははっきりとは分からなかったが、それは妻が死んだことから先の全ての事かもしれないな、と安は思った。


30 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:05:52.89 ID:P+grQrBv0
信雄は怒りにまかせて捜査を続けた。今までと同じようにお互いを監視しながら、である。
4人は仕事部屋の残りの箇所・リビング(付いているキッチンも)・廊下・トイレも調べたが、紐や事件に関係するものは出てこなかった。
強いて言えば、良枝の携帯に山田を呼び出した履歴が残っていた事と、良枝のコーヒーが少しだけ飲まれていた事が新しく分かった。

「これだけ探して無いってことは、紐をトイレに流しちゃったんじゃないですか?」
薫がそう言ったので、もしかしたら紐が引っかかっているのではと考え、トイレとキッチンの配水管・下水管も調べられた。
しかしやはり、何も出てこない。

「いったい何故良枝が殺されなくちゃいけないんだ・・・」
信雄がつぶやく。
(犯人が誰にしろ、動機は明確だけどね)
ほかの3人はそう思ったが、口には出さなかった。
信雄が、犯人の動機が本当に分からないで言っているのではない、と分かっていたからだ。信雄が言っているのは、
どうしてそんな動機で良枝が殺されなければならなかったのか、ということである。






終わり












32 名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 21:07:22.35 ID:c2r8Crje0


33 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:07:34.07 ID:NxYq4AMK0
>>30
ちょwwwwwwwwwwwwwwww待てwwwwwwwwwwwwwwww

34 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:10:35.09 ID:P+grQrBv0
>>33
問題編終わりですよ。
少し経ったら解答編うpします。


ネタスレだと思った人ごめん


36 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:14:20.60 ID:NxYq4AMK0
>>34
把握した。推理しろってことね。

37 名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 21:14:21.89 ID:c2r8Crje0
そろそろ寝るから回答編うp

38 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:16:18.37 ID:P+grQrBv0
>>36
犯人はヤスだけどね。

>>37
おk



39 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:17:11.30 ID:P+grQrBv0
翌朝。
台風はすでに去り、山には再び静寂が戻っていた。
信雄がリビングに入ると、椎名薫・安郁恵・山田靖男が座っていた。3人とも疲労が大分たまっているようである。

昨晩、部屋やトイレの捜査が終わった後、することが無くなった4人は朝まで個室で休むことにした。
信雄は、殺人犯を警戒して一晩中起きていようと思ったが、とても疲れていたのでいつのまにか寝てしまった。
そして翌朝、ノックの音で目を覚ました。
音の主は山田靖男で、話したい事があるからリビングに来てくれ、ということだった。
「ふん、とうとう自供する気になったか」
ドアに向かって言ったが、返事は返ってこない。もう行ってしまっていたのだ。話どころか山田の顔だって見たくない。しかし未だに警察は来ないし、いつまでも部屋にこもっているわけにもいかないので、信雄は仕方なくリビングに来たのである。

「これで全員揃いましたね。話を始めましょうか」
山田が話し始めた。
「こんな早い時間にみなさんを呼び出したのは、他でもありません。昨晩の事件に一刻も早くケリをつけたいからです。」
安が驚く。
「ケリをつけるって、あなたまさか・・・」
「はい、そうです。僕は犯人が分かりました」
「ええっ!」
3人は思わず声をあげた。こんなに分かりやすいシチュエーションなのに、まさか山田に犯人が分かるとは思ってもいなかったのだ。
「犯人が分かったって・・・本当なのか?良枝を殺したのはいったい誰なんだ?この中にいるのか?」
「社長、落ち着いてください。結論だけ言っても混乱するだけです。順を追って説明していきますから、聞いてください」
薫が何か言いかけたが、それを飲み込んだ。3人は完全に聞く体制に入っている。


43 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:18:52.04 ID:P+grQrBv0
「ではまず、犯人の行動について考えてみましょう。無駄なことを省いて言えば、犯人はドアを出て、良枝さんの部屋に入った。そして細い糸で首を絞め、部屋を出ていったわけです。
ここで注意したいのが、首にあった紐の跡が2本あったことです。ふつう首を絞めるときには、力が分散しないように1本の紐でやりますよね?でも跡は2本あった。これはつまり、犯人が一回首を絞めたが、力が弱く殺し損ねたのでもう1回首を絞めた、と仮定できます」

「・・・?」
信雄は、山田が言いたい事が良く分からなかった。首を2回絞めたからってそれが何だって言うんだ?
山田はお構いなしに続ける。
「2回締めるには、1回よりも時間がかかります。僕が言いたいのはそこなんです。犯行には意外と時間がかかるんです。
さらに、社長が犯人だとすると、余計に時間がかかります」

「俺が犯人だと余計に時間がかかる?それは何故だ?」
「第一発見者は社長です。社長が犯人なら、殺してすぐに死体が発見されるわけです。その時、社長はあることを確認しないといけません。
それは、 携帯とパソコンの履歴です。
もし社長が部屋に入る直前、たとえば0時55分に携帯を使った履歴が残っていたら、犯人は社長だと特定されてしまいます。それを防ぐために、社長は携帯の履歴を消さなくてはいけません。
今までのことを踏まえて、社長の行動を追ってみましょう。

リビングを出て、仕事部屋に入る。そして良枝さんの首を絞め、詰めが甘かったためにもう一度首を絞める。その後携帯とパソコンの履歴をチェック。都合の悪いものがあったら消す。そして紐をどうにかして処分して、リビングにもどる。

社長は最低でもこれだけのことをしているのです。しかし思い出してください。僕はうとうとしていてよく覚えてませんが、社長は10秒ほどでリビングに帰ってきました。たった10秒でこんなに多くの事ができるはずありません。
よって社長は犯人ではない、と言えるでしょう」

3人は呆気にとられた。言われてみれば当たり前のことなのに、どうして気づかなかったのだろう。

山田は話を続けた。
「さて今度は、昨夜みんなで考えた問題を思い出しましょう。『良枝さんは何故クーラーを切ったのか』です」
「え、あれ分かったんですか?」
「いえ、何故切ったのかは分かりません。どんな仮説も、推測の域を出ませんでした。
でも、クーラーは我々にもっと大事なことを教えてくれていたんです」

「もっと重要なこと?」
「重要だったのは、『クーラーを切った理由』ではなく『クーラーを切った』という事実そのものだったのです。
『クーラーを切った』ということは、『クーラーを付けて、その後切った』ということです。
僕が仕事部屋で良枝さんに会ったとき、つまり良枝さんが仕事部屋に閉じこもったとき、部屋はとても暑かった。良枝さんが汗をかいていたので、みなさんもその事はわかったはずです」

信雄は、良枝が「ビデオを探しただけで汗かいちゃった」と言っていたのを思い出した。

44 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:19:59.29 ID:P+grQrBv0
「しかし、死体発見時には部屋は余韻で涼しかった。
つまりクーラーは、良枝さんが部屋に入ってから付けられ、十分涼しくなってから切られたのです。言い換えれば、良枝さんが部屋に入ってから十分時間がたった時、部屋に誰かがいたのです。それが良枝さんなのか犯人なのか分かりませんが。
これで、僕の無罪が証明されました。
僕が犯人だとすれば、犯行は良枝さんが部屋に入ってすぐに行われたのだから、クーラーを消せる人がいなくなりますからね。
これで、容疑者は安さんと薫さんだけになりました」


山田は紅茶をがぶりと飲み、話を続けた。

「では別の視点から事件を見てみましょう。
これが、この事件の肝となる話です。
発見されたときの良枝さんの服装を思い出してください。下半身にズボンをはいていて、上半身には下着以外に何も身に付けていませんでした。
しかし、これは明らかにおかしいです。
この時期の女性なら必ず身に付けている、ある物がないのです」

女性2人はうなずいた。信雄は分からない様子である。
「みなさん、もうお分かりですね? そう、婚約指輪です。」
「あっ!そうだ、そういえば指輪が無かった!」
信雄が叫ぶ。
「はい、彼女は指輪を身に付けていませんでした。
彼女はいつも宝石を見せびらかしていたし、まだ仕事をしていなかったので寝るつもりでもありませんでした。こんな状況で指輪をしていなかったのは絶対におかしい。どこかにしまったとも考えられますが、我々が部屋を捜査したのに出てこなかったので、それも無いでしょう。
つまり、指輪は犯人が持っていったのです」

「ちょっと待てよ。それはそれでおかしいだろ」

信雄が口を挟んだ。
「犯人が指輪を持っていったとして、それで指輪はどこに行ったんだ?俺たちは部屋の捜査の上、ボディチェックまでやったんだぞ。隠し持つなんてできたはずがない。まさか指輪もトイレに流したとでも言うのか?」
「トイレには流してないと思います。わざわざ指輪をはずして、トイレに流す理由がありませんからね。
犯人としては、当然指輪は隠し持っていたいでしょう。
実際、犯人は指輪を隠していました。ボディチェックでも見つからない所に。
すなわち腹の中です。



48 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:21:58.68 ID:P+grQrBv0
犯人は指輪を飲んだのです。確かにこれなら、警察に問いただされても知らん顔していられます。
その後は、便に混じって出てきた指輪を回収すればいいのです。多分レントゲンでもとらないと分からないでしょう。

では最後に、指輪を飲めないのはどんな人か、という話をしましょう。指輪を飲んだことで何が起こるのか。
犯人が飲んだ指輪は、社長があげた婚約指輪ですから、さぞかし飾りが大きくて豪華なんでしょうね。そんな指輪を飲んで
第一に考えられるのは、飲み込んだときに喉を痛める、ということです。
では次に、喉を痛めるのがいやな人はどんな人か。これは簡単です。喉を使う仕事をしている人ですね。
今回の事件に当てはめれば、歌手の薫さんです。なにしろ喉を守る為にコーヒーを飲まないくらいですから、
指輪なんて飲めるはずありません。よって彼女は犯人ではありません。

話をまとめましょう。
犯行にかかる時間からして、社長は犯人ではありません。
クーラーが切ってあったので、僕は犯人ではありません。
指輪を飲むことができないので、薫さんは犯人ではありません。

犯行を行える人物は一人しかいません。










犯人は、ヤス」



49 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:25:24.60 ID:P+grQrBv0
「うそ・・・ヤスが犯人?・・・本当なの?」
薫が、横を向いて言う。
ヤスはテーブルに置かれたティーカップをじっと見ながら、こくん、とうなずいた。
「そんな・・・」
「指輪ひとつなんかの為に・・・良枝を殺したのか・・・」
「違うわ!」
ヤスが叫んだ。
「あの子のこと、許せなかったの。何もしないで幸運を得ていたあの子が。
昔から、私が勉強してる時も、薫が歌の練習してるときも、あの子はいつも遊んでた。
家が金持ちだし、人生を甘く考えてたのよ。
私は悔しかったけど、でも我慢したわ。たくさん勉強して、あの子より幸せになってやる。それだけを考えて生きてきた。そして私は医者になり、あの子を抜いた。
私の苦労が報われた瞬間だった。あの子に言ってやりたかったわ。
ずっと何もしなかったあなたに何が残っているの?って。
でも、私の優越感はすぐに崩れ去った。あの子が、建設会社の社長と結婚するって言い出したときにね。
私は半狂乱になった。どうして?どうしてこんなに苦労しているのにあの子に勝てないの?
そして私はあの子を殺してやろうと思った。それも結婚式の前にね。
あの子が幸せの絶頂に立つ前に。」




ヤスはヤスヤスと犯行を認めた。





終わり

















50 名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 21:25:52.55 ID:LYEFo5X50
まじか、、、てっきり犯人はヤスかと思ってた、、、

51 名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 21:25:59.84 ID:c2r8Crje0
wwwwwwwwwwwww

52 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:26:18.44 ID:sOoEMNU50
ちょっと待てwwwwwwwwwwwwwww

53 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:26:35.97 ID:Bo1NXR7N0
ちょっとwwwwwwwwwww

54 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:26:49.53 ID:Oxhy9ykA0
おいwwwwwwwwwwwwww

55 名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 21:27:08.05 ID:c2r8Crje0
乙wwwwww
iPodであとでじっくりみさせていただきます。
無理言ってごめんんえ

56 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:27:13.63 ID:aIRh3FTFO
駄目だ読む気が起きない

FLASHでくれ

57 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:27:20.94 ID:OjxURsv/O
読む気はないが犯人は直感でわかったぜ!

58 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:27:21.70 ID:GI7JMf/OO
ちょwwwww

59 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:27:40.65 ID:NxYq4AMK0
ヤスか!ずっとヤスだと思ってたのに。まあ途中でヤスが怪しいとも思ったんだけどな。

60 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:30:50.27 ID:P+grQrBv0
>>57
ごめん、そんな技術無いんだ・・・
最後の>>49だけで内容把握できると思います。

61 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:39:16.76 ID:Psr3J65R0
ええええええええええええ

62 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:39:57.06 ID:+zxLwDm70
wwwwwwwwwww

63 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:51:41.48 ID:1IIAtl2hO
終わりなの・・・?

64 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 21:57:06.82 ID:P+grQrBv0
>>63
終わりです。続きも思いつきません。
というか最後のダジャレが言いたかっただけなんです・・・

65 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 22:06:37.04 ID:NxYq4AMK0
>>63
ヒント:不完全な部分も含めて問題

66 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 22:11:05.17 ID:P+grQrBv0
>>65
すいません不完全な部分ってどこですか?

67 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 22:23:21.68 ID:NxYq4AMK0
>>66
凶器の紐の行方と正体とか言ってないんじゃない?

68 名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/09(土) 22:31:28.90 ID:P+grQrBv0
>>67
忘れてたwwww
トイレに流したってことで・・・
























ネタ元:推理小説「犯人はヤス」
http://ex16.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1157802749/
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【2006/09/09】 【ニュー速VIP】 | track back(0) | comment(3) |
comments

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ヤスヤスと終わりやがって!
【2006/09/10 03:21】 URL |   #-[ 編集] |

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矛盾が><
トイレでしか電波届かないならメールで呼び出しはくらわないぜぜぜ
ってことでてっきり犯人はヤスかと思ってた
【2006/09/10 05:23】 URL | #-[ 編集] |

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指輪をアナルに隠してたら見付らなかったのに…
【2006/09/11 18:03】 URL | #-[ 編集] |
please comment













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